題名を見たときに、てっきり
京都人の本かと思ってしまった。
だって、京都人=意地悪と思ってるから。
(京都人のみなさんごめんなさい)
だから京都に住んで20数年の
なんちゃって京都人の自分にも
ちょっと興味がわいてしまった。
読んでみると、本書は京都人には
まったく、なんの関係もない。
京都の人、ホントすいません。
m(_ _)mスマン
意地悪ができる人は、実は頭の良い人。
本書では、そう位置付けております。
確かに意地悪をしようと思うと
相手がこうすれば、こう苦しむだろうと
戦略を練らなければなりません。
もちろん、相手がその意地悪に気付かないと
意味はありませんが。
しかし意地悪には、相手を攻撃するにあたり
ワンクッションあるので良いとも言ってる。
なるほど、直接的で相手を攻撃するのは
野蛮になるので、回りくどい嫌味などは
知的な文句かもしれない。
もちろん、現代のネットを使った、陰湿な
集団でのいじめとは違う事は言っておく。
正直なところ、作者の橋本治さんの
意地悪なグダグダな本とも言えなくもない。
しかし、有名な作品である登場人物の見方や
考え方について意地悪な見方ではあるが
深い見識で心情を解説してくれる。
そのため、本書で紹介される作品に
興味を持たされてしまう。
意地悪な人間として
- 樋口一葉
- マスゾエさん
- 紫式部
歴史上の人物が意地悪だと興味がわく。
元都知事の舛添要一さんだけ現在なのが
笑えるし、いじわる。(笑)
さすが、意地悪な人は優秀と言うだけあって
意地悪な筆者はかなり有能。
紹介作品としてはプラダを着た悪魔や
ピーター・シェーファーの戯曲である
アマディウスの元の戯曲もおもしろい。
主役の音楽家サリエリがモーツァルトの
才能に気付いて1人悶絶状態になって
嫉妬で苦しんでしまう。
モーツァルトはすごいのですが
その「すごいこと」に誰も気づかない。
誰も「すごいと」気づけない。
スゴいことに気づくのも才能だと気づく。
そして、気付いた自分はモーツァルトに
嫉妬してしまいます。
でもそれは周りの人には分からない。
嫉妬してしまう自分と、才能を認めて
しまうと自分が否定されてしまう。
でもそんなことは
誰も気づいてくれない。
なんと高度な作品か。
そして、戯曲の作者である
ピーター・シェーファーのなんと
意地悪なことか。
本書で紹介される作品の主役は
意地悪な人々。
そんなひねくれた人物達が面白い!
興味を持ってしまう。
気がついたら、意地悪な世界に
どっぷりとはまってしまった。